ECLIPSE Ti2-I

ICSI/IMSI用電動倒立顕微鏡

ユーザーインタビュー

ユーザーインタビュー 「この顕微鏡により、卵子への負荷を軽減しつつ、ICSI/IMSIの実施回数を増やすことができます」

The ECLIPSE Ti2-I — a microscope set to advance fertility treatment at CHIREC’s IVF laboratory to a new stage.

ヨーロッパの中でも優れた医療体制を整えているベルギーにおいて、あらゆる分野を網羅した先進的医療の実践を目指す、CHIRECホスピタルグループ。

ベルギーは、世界で初めてICSI(顕微授精)法を実施※したことで知られています。CHIRECもその先進性を受け継ぎ、IVF(体外受精)ラボでは、患者様一人ひとりに合わせた、高度でより質の高い不妊治療に取り組んでいます。その臨床現場に、ニコンのICSI/IMSI用電動倒立顕微鏡ECLIPSE Ti2-Iが新たな可能性をもたらそうとしています。この顕微鏡の光学性能や設定自動化による治療効果への期待、操作実感などを、CHIRECのIVFラボに16年以上勤務するシニア胚培養士である、デビッド・ハレーニョ・マルティネス先生に伺いました。

※ 1992年、ベルギーのブリュッセルの、自由大学病院にて世界初のICSI法が実施された
https://brusselsmorning.com/thirty-years-ago-the-very-first-icsi-baby-was-born-in-uz-brussel/20731/

*本コンテンツでは、当社製品についての医療従事者のコメントが記載されていますが、当社製品の効能、効果及び性能を保証するものではなく、また、当該医療従事者が当社製品を公認し、推せんし、指導し、または選用していることを示すものでもございません。

患者様を“繭”で包み込むような医療を目指す

CHIREC Hospital Group ブレーヌ・ラル病院

CHIREC IVFラボ
シニア胚培養士 ベルギー生殖医学会理事
デビッド・ハレーニョ・マルティネス先生

※役職・所属等は取材当時のものです

ECLIPSE Ti2-Iをデモンストレーションで使用する先生

※他社製のマイクロマニピュレーターを装着

CHIREC(Centre Hospitalier Interrégional Edith Cavell)は、ベルギーの首都ブリュッセルを中心に国内各地の病院やクリニックなどを統合し、2000年に設立されたホスピタルグループです。1923年設立のイーディス・キャヴェル・クリニックをその起源としています。

イーディス・キャヴェル(Edith Cavell)は、看護学校の教師として、ベルギーにおける近代看護の基礎を築くことに貢献しました。また、第一次世界大戦時に連合国、ドイツ両陣営の兵士を差別なく救うことに尽力した功績で、世界的にも知られています。

尊い命を分け隔てなく救うという、その精神を受け継いだCHIRECは、個々人の信条や文化を尊重しながら、すべての患者様をケアすることを理念としています。そのために専門性の高いさまざまな医療分野を網羅し、先進的な技術の活用と、医師、看護師、技師などの緊密な連携によって、患者様一人ひとりを繭(Cocoon)で包み込むような、優しく高度な医療の提供を目指しています。

CHIRECに属する、ブレーヌ・ラル病院のIVF(体外受精)ラボは、先進的な不妊治療技術と経験豊かな胚培養士によって、より多くの患者様の希望を叶えることに取り組んでいます。その臨床現場では、さまざまなニコンの顕微鏡が役立てられています。

顕微鏡を使用する顕微授精(ICSI)には、豊富な経験と熟練した手技が求められます。ニコンのICSI/IMSI※用電動倒立顕微鏡 ECLIPSE Ti2-Iは、設定の自動化により、治療品質の維持に役立ちます。この顕微鏡をIVFラボのシニア胚培養士で、ベルギーIVF学会の理事も務める、デビッド・ハレーニョ・マルティネス先生にご使用いただき、その実感を伺いました。

※ICSI とは、顕微鏡下で卵子に精子を直接注入する方法で
IMSIとは、さらに高倍率な顕微鏡観察で精子の形態を詳細に観察し、選択した後に卵子に直接注入する方法

胚培養士の負荷をより軽減し、手技の精度を高めるECLIPSE Ti2-I

ブレーヌ・ラル病院はブリュッセルの南約20キロに位置する総合病院で、ここに属するIVFラボは、CHIRECの生殖補助医療の中核的な役割を担っています。先端設備を整え、厳格な品質管理体制のもと、安全性・信頼性を確保しています。

このラボでは、顕微鏡を使用する顕微授精(ICSI :Intracytoplasmic Sperm Injection)の中でも特殊な手法である、IMSI(Intracytoplasmic Morphologically Selected Sperm Injection)を実践しています。IMSIは、状態のよい精子を形態的に選択し、卵細胞質内に注入する顕微授精法です。百倍から数百倍という高い倍率で精子を観察するための顕微鏡の設定や繊細な操作が必要となりますが、不妊治療の結果の改善の可能性を大幅に高めます。

「私たちの患者様は、これまでに他の医療機関で既に不妊治療を経験し、望む結果を得られなかった方が多い傾向があります。だからこそ治療には、患者様お一人おひとりに応じた、個別のアプローチが必要だと強く感じています。IMSIもその一環であり、CHIRECは IMSIを通常の治療として採用している数少ない医療機関のひとつです」と、マルティネス先生はお話しくださいました。

ブレーヌ・ラル病院内のIVFラボ

IVFラボに設置されたニコンの実体顕微鏡 SMZ1270

マルティネス先生に、今回ご使用いただいたECLIPSE Ti2-Iについて伺いました。

― IVFラボにおけるECLIPSE Ti2-Iの有用性についてお聞かせください。

マルティネス先生:「私たちは患者様一人ひとりの特性や要望に合わせて、医療戦略や技術を最適化しています。そのために、各カップルの医学的背景、配偶子(精子・卵子)の品質などを詳細に評価することが不可欠となります。その点で、ECLIPSE Ti2-Iは極めて重要な役割を果たすと考えています。

優れた光学性能がクリアで高倍率の観察を可能にし、IMSIにおける、より精緻な精子選別ができます。その結果、胚の品質向上、ひいては不妊治療成果の改善へとつなげることが期待できます」

ボタンやタッチパネルで簡単に設定を切り換え

― 顕微鏡の設定自動化は、ワークフローにどのような効果をもたらすとお考えですか。

マルティネス先生:「顕微授精のワークフロー効率化という観点では、ECLIPSE Ti2-Iの最大の強みは自動化機能にあると考えています。設定の自動化機能により、対物レンズの切り換えにともなう、光量調整やアナライザー、コンデンサーの切り換えなど、反復的で時間のかかる顕微鏡設定の作業をワンタッチで行えます。これによって、疲労を軽減するだけでなく、胚培養士が機械操作よりも生物学的・臨床的な判断に、より集中できるようになります。その結果、卵子への負荷を軽減しつつ、1日のICSIの実施回数を増やすことができます」

ラボに設置された ニコンECLIPSE Ti2-I
※他社製マイクロマニピュレーターを装着

― コスト面や運用面でのメリットはいかがでしょうか。

マルティネス先生:「医療機関にとっても、設備・機器は性能や機能とともに、コストパフォーマンスが重要です。ECLIPSE Ti2-Iは自動化機能を標準搭載したオールインワンタイプの顕微鏡として設計されており、今後、追加の自動化機能を導入する必要がある他機種に比べて総コストを抑えることができるでしょう。さらに、長期的には効率性や再現性の向上という形で高いリターンをもたらし、先進的な技術への投資としても合理的です」

― ECLIPSE Ti2-Iをご自身で使用された実感をお聞かせください。

マルティネス先生:「ECLIPSE Ti2-I 顕微鏡にはとても驚きました。人間工学にもとづいて設計されており、初めての操作でも簡単に使用できるだけでなく、自動設定機能によって、操作に関わる煩雑さを解消してくれました。さらに内部に搭載されている光学系の品質も優れており、常にクリアな視界での作業を行うことができました。ECLIPSE Ti2-I は優れた性能と機能を、直感的でスムーズな操作で享受できる、とても信頼できる顕微鏡です」

― ECLIPSE Ti2-Iによる患者様へのメリットを、どのようにお考えでしょうか。

マルティネス先生:「私の経験にもとづくと、IMSIにおいて精子を選別し、卵子へ注入するまでに要する時間は、Ti2-Iの場合、完全手動の顕微鏡の約1/3に短縮できると考えます。この操作時間の短縮は、極めて大きな意味を持ちます。つまり、患者様の大切な卵子が高酸素、低二酸化炭素といった、最適でない環境にさらされる時間が短縮されるため、卵細胞へのストレスが軽減されるからです。その結果、卵子の生存性がより良好に保たれ、最終的には受精率や胚発育の改善に貢献すると考えます。これは患者様にとって大きなメリットになります」

最新の知見・技術を導入し、さらなる進化を目指すCHIRECの不妊治療

マルティネス先生に今後の展望を伺いました。「体外受精はその誕生以来、医師や胚培養士たちのスキルとそれを支える医療テクノロジーの両面で絶えず進化を続けてきました。近年ではAIの導入により、生殖補助医療の現場で大きな変革が起きています。AIは現在、診察時に患者様ごとに、より個別化された効果的な治療方針を策定するサポートを行うだけでなく、治療における配偶子や胚の選別精度の向上にも寄与しています。さらに、自動化も重要な役割を果たしています。胚培養士たちの特定の手技を標準化することで、時間短縮や作業負荷の軽減を実現するだけでなく、胚培養士間の手技の一貫性を高め、結果として治療の再現性と信頼性の向上をもたらすのです。私たちは今後も先進的な技術と不妊治療のスペシャリストの技能を組み合わせ、患者様によりよい治療を提供していきます」とお話しくださいました。

さらに、ニコンへの要望もお聞きしました。「私たちはニコンへの期待をさらに高めています。特に、高解像度イメージング、自動データ取得、そしてAIによる解析をシームレスに統合できるような、デジタル化のさらなる発展を望んでいます。そのような革新が進めば、ICSI/IMSIの過程において配偶子をこれまでにない精度で評価できるようになるでしょう」というお言葉をいただきました。こうした期待に応えるため、ニコンは継続的なイノベーションと世界中の生殖医療専門家との協力に取り組み続けています。
 

CHIREC IVFラボのスタッフの皆さん