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顕微鏡の消毒方法
2020年4月16日
株式会社ニコン
本文書では、SARS-CoV-2(COVID-19の原因物質である新型コロナウイルス)をはじめとする感染の恐れのある病原体の拡散を防止するための、顕微鏡の取り扱い方法および消毒手順に関する推奨事項についてご説明します。
注:本文章の内容は現時点での世界的な医療基準に基づくものであり、必要に応じて更新される可能性があります。
一般的な取り扱いおよび消毒に関する推奨事項
1. 顕微鏡の取り扱いについて
地域の医療当局が発行する指示およびWHO(世界保健機関)などの関連機関が発行するガイダンス*1 に従ってください。
各施設での感染リスク評価に基づいて、使い捨て手袋、防護服、ゴーグルなどの適切な個人防護具(PPE)を着用してください。
ご使用の顕微鏡にカメラが搭載されている場合は、接眼レンズではなく、カメラを使用してサンプルを観察することを検討してください。
*1 "Laboratory biosafety guidance related to coronavirus disease 2019 (COVID-19), Interim guidance 19 March 2020"(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連した検査室のバイオセーフティに関するガイダンス、2020年3月19日現在の暫定ガイダンス』)(英語版)(日本語版)
2.消毒について
以下の表1および表2は、WHOのガイダンス*1が推奨する消毒剤について、ニコンの顕微鏡に対する使用の可否を示します。
―WHOのガイダンス*1の「3. 適切な消毒剤の使用」セクションからの抜粋―
「この新たなウイルスについての知見は乏しいものの、COVID-19とMERS-CoVの原因となるウイルスには共通の遺伝的性質が認められることから、COVID-19ウイルスはエンベロープウイルスに対する効果が実証されている消毒剤に感受性である可能性が示唆される。こうした消毒剤には、次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤。一般的な表面消毒には1,000 ppm [0.1%] 、血液付着面の消毒には10,000 ppm [1%] )、62~71%エタノール、0.5%過酸化水素、第四級アンモニウム化合物、およびフェノール化合物などがある(メーカーの推奨に従って使用した場合)。0.05∼0.2%ベンザルコニウム塩化物または0.02%グルコン酸クロルヘキシジンなどの他の殺菌剤は効果が低い可能性がある。」
上記の消毒剤のうち、70%エタノールはニコンの顕微鏡に安心して使用できます。消毒には70%エタノールを使用してください。頻繁な消毒が強く推奨されます。
表1.ニコンの顕微鏡各部への70%エタノールの使用可否
顕微鏡各部 *2 *3 | 70%エタノール | 注 |
---|---|---|
接眼レンズ | 使用可 | レンズクリーニングペーパーを70%エタノールで湿らせ、レンズ表面および接眼レンズのゴム製目当て(装着されている場合)の表面を拭きます。対物レンズの詳細な清掃手順については、当社のWebサイトから『対物レンズのクリーニング方法』のリーフレットをダウンロードしてください。 |
対物レンズ | 使用可 | |
顕微鏡本体 | 使用可 | Moisten low-lint lab tissue with 70% ethanol and wipe the surface. |
ステージ | 使用可 | |
アクセサリー | 使用可 |
*2 内部の光学部品およびフィルターキューブは、必ずニコンの認定した保守サービス技術者が清掃してください。
*3 焦準ハンドル、レボルバー、ステージハンドルなど、頻繁に触れる部分は特に重点的に消毒してください。
WHOのガイダンス*1によると、次の表2に示す消毒剤もCOVID-19ウイルス(新型コロナウイルス)に対して有効である可能性がありますが、これらの消毒剤はニコン製品の素材や性能に悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため、表2の消毒剤はニコンの顕微鏡に使用しないでください。必ず70%エタノールを使用してください。
表2.ニコンの顕微鏡各部に対して使用不可の消毒剤
顕微鏡各部 | 消毒剤 | 使用の可否 |
---|---|---|
接眼レンズ | 次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤:一般的な表面消毒には1,000 ppm [0.1%] 、血液付着面の消毒には10,000 ppm [1%] )、0.5%過酸化水素、第四級アンモニウム化合物、フェノール化合物、0.05∼0.2%ベンザルコニウム塩化物、0.02%グルコン酸クロルヘキシジン | 使用不可 |
対物レンズ | 使用不可 | |
顕微鏡本体 | 使用不可 | |
ステージ | 使用不可 | |
アクセサリー | 使用不可 |
本文書に記載の消毒手順が、ニコンの使用説明書に記載された清掃手順と異なる場合は、使用説明書の手順に従い、顕微鏡各部がウイルスにより汚染されている可能性があるものと想定して作業してください。
消毒を行う部分
ご自身および周囲の方の安全のため、以下のガイドラインに従ってください。
- 地域の医療当局および関連機関の指示・ガイダンスを順守する
お住いの地域の医療当局および関連機関の指示やガイダンスに従ってください。これらの情報は、医療当局や関連機関の最寄りのオフィスに問い合わせるか、Webサイトにアクセスして入手できます。WHOのWEBサイトを下記にご紹介します。- 世界保健機関(WHO):https://extranet.who.int/kobe_centre/ja
- 製品の使用説明書の指示に従う
製品の使用説明書に記載されている取り扱い方法および清掃手順に従ってください。使用説明書がお手元にない場合は、弊社のWebサイトからご請求いただくか、最寄りのニコン代理店にお問い合わせください。 - 潜在的な感染リスクに関して
使用説明書または本文書に記載の一般的な取り扱い方法および消毒手順に従って顕微鏡を取り扱い、清掃した場合でも、感染リスクの可能性を完全に排除することはできません。安全のため、顕微鏡を汚染している恐れがあるものとして扱い、地域の医療当局および関連機関の指示や基準に従うことをお勧めします。