顕微鏡の観察法

一般的な顕微鏡の観察法は、標本を透過または反射した光を観察する明視野観察と言われるものです。この他に、暗視野観察/位相差観察/微分干渉観察/蛍光観察/偏光観察などがあります。観察法は、観察する標本、研究目的によって選択します。研究用と呼ばれるクラスの顕微鏡では、アクセサリを交換あるいは追加して、明視野観察以外の観察も行なえるようになっています。

明視野観察

胃壁(HE染色) 10X

標本を透過または反射した光を観察します。

主な用途

  • 目的に応じた染色を施された標本の観察
  • 病理検査
  • 血液検査
  • ウェハ検査
  • 液晶基板検査

明視野観察の操作

暗視野観察

腹壁筋 10X

特殊なコンデンサを使用することで、標本を斜めから照明して標本により散乱した光を観察します。明視野観察と異なり、対物レンズに照明光が入らないので、視野は暗くなります。

主な用途

  • 微生物の観察
  • 血液検査
  • 微細なキズ、段差の検出

位相差観察

腹壁筋 10X

光の回折と干渉という現象を利用して、透明な標本に明暗のコントラストを付けて観察します。明視野観察のように標本を染色する必要がないので、生きたままの標本を観察できます。

主な用途

  • 培養細胞の観察
  • 血液や生体細胞の観察

位相差観察とは

微分干渉観察

腹壁筋 10X

無染色の標本を光が通過する際の屈折率の違いや、標本表面の形状による光路差(光の進み方の違い)を明暗のコントラストに変えて観察します。位相差観察と同様、生きたままの標本を観察できます。但し、位相差観察よりも、厚い標本に適しています。

主な用途

  • 神経や筋肉の繊維構造の観察
  • 細胞分裂紡錘体の観察
  • 細胞核構造、その他無染色の厚い標本
  • ICウェハ表面、磁気ヘッドの研磨面の外観検査
  • 結晶成長過程の観察

蛍光観察

牛の首の神経細胞 40X

特定の波長の光で照明して、標本や対象物から出る蛍光を観察します。

主な用途

  • 生体細胞のカルシウムイオンの動態観察、定量
  • 抗原抗体反応による抗原の同定
  • 細胞内のDNA、RNAの観察、定量
  • 染色体異常の解析
  • 半導体製造工程中の残留レジストの検出。ゴミの検出、同定

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偏光観察

ポリプロピレン 10X

標本の偏光特性を明暗のコントラストや色の変化にして観察します。

主な用途

  • 岩石、鉱石、高分子材料、新素材などの光学的性質の解析
  • 液晶表示素子の製造工程中の欠陥検査、配向膜の欠陥検査
  • 光磁気ディスク、バブルメモリの観察
  • 生体内微細構造、細胞骨格の偏光解析
  • 痛風検査