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レーザーアプリケーションシステムTi2-LAPP

モジュール照明システム

柔軟性と拡張性を極めたモジュール照明システム

レーザーアプリケーションシステムTi-LAPPは、TIRF(全反射蛍光)、光刺激、落射蛍光、超解像(N-STORM)などの機能をモジュール化。任意のモジュールを自由に組み合わせることで、研究目的に応じて必要な機能だけをカスタマイズした顕微鏡システムが構築できます。例えば複数のTIRFモジュールを搭載することにより、異方性実験や2色TIRF画像の取得が高速で効率的に行えます。
また、Tiの階層構造を利用することにより、TIRFモジュール2つ+光刺激モジュール2つ+落射蛍光モジュールなど、最大5つのモジュールの同時搭載が可能です。


特長・機能

H-TIRFモジュール — TIRF観察の自動化を実現

TIRF観察のための理想的なレーザー入射角度や光学系焦点アライメントは、試料や観察条件によって微妙に異なるため、これまでは設定や調整に熟練が必要でした。H-TIRFモジュールは、画像統合ソフトウェアNIS-Elementsを使用したオートアライメント機能により、システムが全反射状態を検知して、TIRF観察が行えるようにレーザーの入射角度や光学アライメントを自動的に調節します。エバネッセント光の染み出し深さやレーザー入射角度の設定値は、目的ごとまたは波長ごとに保存して呼び出せるため、常に一定の条件での観察が可能です。
また、グラデーションNDフィルターの使用により、視野の隅々まで均一な明るさの高品質なTIRF像が取得できます。

Tetramethylrhodamine とAlexa Fluor® 647で蛍光標識された微小管とAlexa Fluor® 488で蛍光標識されたチューブリン結合タンパク質のin vitro標本を、H-TIRFモジュールとグラデーションNDフィルターを使用して3つの異なる波長で撮影。入射角度はそれぞれの波長に応じて自動的に調整されています。
撮影ご協力:Melissa Hendershott and Dr. Ron Vale, University of California, San Francisco


グラデーションNDフィルターを使用しない場合、TIRF照明は視野の中央部が最も明るい正規分布を示しますが、グラデーションNDフィルターを使用することで、非常に均一なTIRF照明が得られます。


電動TIRF モジュール

レーザーの入射角度や沁み出し量をNIS-Elements から電動制御できるTIRF 照明装置です。複数台の搭載(写真)では、波長ごとの沁み出し量も設定できます。


TIRFモジュール — 細胞膜の動態や一分子の観察に

手動レーザーTIRFモジュールにも、H-TIRFモジュールと同様のグラデーションNDフィルターを搭載し、視野全体にわたって均一なTIRF照明を実現しました。細胞膜近傍のタンパク質1分子やその動態が高感度カメラを使用して高S/N比で取得できます。


N-STORM モジュール

従来の顕微鏡の10倍の高解像度

完全電動もしくは一部電動のシステムを選択可能です。
ニコンはそれらの照明モジュールとTi2を組み合わせた超解像顕微鏡N-STORMを提供いたします。
どちらも電動アライメント機能と照明視野倍率 (1x, 2x, 4x)を搭載しています。
これにより、従来の光学顕微鏡の10倍という驚異的な画像解像度(約20nm)を実現します。


DMD module

DMDモジュール — 任意形状の多点ROIを同時に光刺激

従来のFRAP装置がシングルスポットを光刺激するのとは異なり、DMDモジュールはユーザーの指定する形状で光刺激・光変換が可能です。照射範囲の設定は、画像統合ソフトウェアNIS-Elementsを使用し、線形・任意形状・複数個所など目的に応じて自由に行えます。多数の細胞のうち複数個を選択して同時刺激を行い、光学的にマーキングして追跡することも可能。細胞の特定領域に任意の形状で光刺激を続け、変化を観察するオプトジェネティクスなどのアプリケーションにも最適です。光源はレーザーのほかに生体試料に優しいLEDもご用意しました。

mCherryで標識されたA型ラミン(赤)と光活性化GFPで標識されたA型ラミンとを共発現したマウス胎児線維芽細胞の右下の領域を、DMDモジュールを使用して405nm波長のLED光で光刺激(緑)し、落射蛍光照明によりタイムラプス画像を取得。ラミンタンパク質の亜母集団を光活性することにより、その動態やサブユニット交換を観察できます。
撮影ご協力:Drs. Takeshi Shimi and Bob Goldman, Northwestern University Medical School


FRAPモジュール — 細胞内タンパク質の動態解析に

KaedeやPA-GFPなどの光活性・光変換蛍光タンパク質を利用した光刺激タイムラプス画像を、高フレームレートの高感度カメラで取得できます。細胞の特定部位に任意のスポット径でレーザー照射できるため、ポイントスキャン型の共焦点顕微鏡システムを使用することなく、手軽に細胞内タンパク質分子の動態観察や特定細胞のマーキングが行えます。

mCherryで標識されたA型ラミンを発現したマウス胎児線維芽細胞の右上の核を、FRAPモジュールを使用して光退色させ、A型ラミン分子の動態を撮影。タイムラプス画像は落射蛍光照明により取得しました。
撮影ご協力:Drs. Takeshi Shimi and Bob Goldman, Northwestern University Medical School


XYガルバノスキャニングユニット — 光刺激同時共焦点イメージングに

XYガルバノスキャニングユニットは、サンプルの任意領域を、レーザーによりポイントスキャンで刺激できる光刺激モジュールです。倒立顕微鏡Ti2-Eに共焦点レーザー顕微鏡システムAX/AX Rと同時搭載することにより、サンプルを光刺激しながら同時に生細胞ダイナミクスを共焦点イメージングできます。また、多光子共焦点レーザー顕微鏡システムAX R MPにも搭載できます。

*AX/AX RまたはAX R MPとの組み合わせ以外では使用できません。


広視野用EPI-FLモジュールL — 大型カメラセンサーでの蛍光イメージングに

広視野用EPI-FLモジュールLは、倒立顕微鏡Ti2が実現する広視野観察アプリケーションに最適な蛍光照明装置です。小型化と広視野化を両立し、25㎜の比類ない広視野での蛍光観察が可能です。クォーツ製のフライアイレンズを内蔵しているため、紫外域を含む広い波長範囲において高い透過率を実現し、視野の端まで均一な明るさが得られます。


モジュールを自由に組み合わせ

Ti-LAPPシステムはモジュールを自由に選択して組み合わせることが可能なため、研究に必要な機能を搭載したイメージングシステムが構築できます。研究者ごとの実験目的に合わせたモジュールの交換や、実験の進展や変化に応じたモジュールの追加が可能です。
例えば、2つのTIRFモジュールを同時搭載することにより、波長ごとに入射角度を最適化したTIRFモジュールの切替えだけで、異方性実験や2波長TIRF画像の取得が効率的に素早く行えます。1つのTIRF装置で波長を切替えるシステムのように、波長変更のたびに入射角度を調整する必要がありません。
また、光刺激モジュールを追加することにより、タンパク質群の全体像からは把握しにくい特定タンパク質の挙動の追跡が可能です。


二階層にも搭載可能

Tiの階層構造を利用することにより、複数のモジュールを上下2段に同時に搭載できます。二階層に搭載することにより、それぞれのモジュールに最適なフィルターが使用可能です。例えば、下段にH-TIRFモジュール、上段にDMDモジュールを搭載した場合、下段の蛍光キューブターレットにはTIRF用のフィルターキューブを、上段の蛍光キューブターレットには光刺激用のフィルターキューブをそれぞれ搭載できるため、最適なフィルター選択が容易になり実験の精度とスピードが大きく向上します。


EOSで標識されたチューブリンを発現したショウジョウバエS2細胞。一つの微小管の先端を、DMDモジュールを使用して405nmのLED光で光変換。H-TIRFモジュールを使用して2色TIRFタイムラプス画像を撮影。光変換していないチューブリン(緑)の光変換した微小管(赤)の伸長端への結合、および光変換した部分の短縮(と最終的な消失)は、微小管の動的不安定性を表します。矢印は光変換した微小管の伸長・短縮端を示します。
撮影ご協力:Drs. Nico Stuurman and Ron Vale, University of California, San Francisco