アプリケーションノート

超解像イメージングによるミトコンドリア微細構造の定量解析

2023年3月

ミトコンドリアは、ATP産生やアポトーシスといった生命活動に不可欠な機能を担う細胞内小器官である。その形態はダイナミックに変化することで知られ、ミトコンドリアは細胞の中で分裂や融合を繰り返す。また、ミトコンドリアは外膜と内膜の二重膜で構成され、内膜は内部(マトリクス)に向かって陥入したクリステと呼ばれる構造を取っている。これらミトコンドリアの形態や構造と細胞の活性(Viability)との間には相関関係があることが知られており、現在ミトコンドリアの形態や構造とヒトの疾患との関連に着目した研究が展開されている。

本アプリケーションノートでは、超解像共焦点レーザー顕微鏡システムAX/AX R with NSPARC (Nikon SPatial ARray Confocal ) を用いたミトコンドリア観察の実例を紹介する。 NSPARCと高速レゾナントスキャナーを組み合わせることで、微細な構造を持つクリステや、形態のダイナミックな変化が鮮明に観察できた。従来の共焦点レーザー顕微鏡と同様の操作感で簡単に超解像画像を取得できるNSPARCは、NIS-Elementsソフトウェアによる解析と組み合わせることで学術研究だけではなく、医療や創薬スクリーニングといった応用分野への適用も期待される。