ECLIPSE Ui

デジタルイメージングマイクロスコープ

ユーザーボイス(評価事例) 病理診断に新たな可能性をもたらすECLIPSE Ui※
「いままでの病理医のイメージを変えると感じました」

東京大学医学部附属病院
次世代病理情報連携学講座
特任教授 病理専門医 佐々木 毅先生

医療において、診断の確定という大切な役割を果たす病理医。長時間にわたり顕微鏡を覗くことも多く、それだけに身体的、精神的な負担も大きいと言われています。ニコンは、病理医の負担軽減を目指し、接眼レンズを覗くことなくモニターによって検体の高精細な顕微画像を見ることができる、新しい病理検査用顕微鏡『ECLIPSE Ui』を開発。この顕微鏡を評価いただいた、東京大学医学部附属病院の佐々木 毅先生にその感想を伺いました。

※ 医療機器届出番号:14B2X10066000001 (販売名:「デジタルイメージングマイクロスコープ Ui」)
(本製品の特長や臨床的有用性に関しては、先生ご自身の使用経験からコメントをいただきました。)

長時間にわたって顕微鏡を覗き続ける病理医

― 先生が顕微鏡を使用されるときの状況をお聞かせください。

佐々木先生:東大病院の場合、診断のダブルチェック制度がありまして、最初に若い先生たちが病理診断したものを、私たちベテランの医師がすべてダブルチェックします。そして修正が必要な場合はその結果を差し戻す、という取り組みを行っています。私は金曜日の担当で、その日に出てきた検体はすべて責任を持ってチェックします。金曜以外でも、医学部の学生への講義や、若い先生たちのための指導などで顕微鏡を使用することはありますが、金曜に集中して使っていますね。

― どのくらいの時間、顕微鏡を覗いておられるのでしょうか。

佐々木先生:その日の標本の量にもよりますが、おおよそ8時間から9時間ぐらいは顕微鏡を覗いています。特に乳腺の検体については、私の専門分野でもあるため、東大病院で手術された乳腺の検体は全症例、私がダブルチェックしています。これが重なった場合は、9時間を超えることもよくありますね。そのほかにも私は、地域連携推進・遠隔病理診断センターのセンター長を兼任しており、病理医が不在の病院や、病理医が1人しかいない病院の病理診断の支援等も行っています。その診断に要する時間が、通常の院内の診断時間に上乗せされることになります。

― 体への負担はかなりありますでしょうか。

佐々木先生:長時間、前かがみで顕微鏡を覗いているため、体にはとても負担がかかります。精神的にもあまり開放的な感じではありません。診断中は集中しているため気付かないのですが、診断が終わった後は「辛いな」と思うことがよくあります。やはり背中が痛くなりますし、体の節々も凝った感じになりますね。一般的に病理医は、日常の仕事でかなりの時間、顕微鏡を覗いているので、おそらく私と同じような悩みを持っていると思います。動き回るということはあまりないのですが、それなりの重労働だと思います。

病理医の負担を考慮して生まれた、ECLIPSE Ui

― ECLIPSE Uiを体験・評価いただいた感想をお聞かせください。

佐々木先生:今回、ECLIPSE Uiの使用体験をさせていただきましたが、一番に感じたことは、検体の顕微画像をリアルタイムでモニターに映し出して観察できるということです。これによって、いままでのように背中を丸めて接眼レンズを覗く必要がなく、かなり楽でした。また顔を上げているので開放感もあります。診断を続けていても閉塞感がなく、精神的な負担もかなり軽減される印象でした。

― その他に印象に残ったことはありましたでしょうか。

佐々木先生:検体の画像が、デジタルであることも大きなポイントです。いままでの病理診断では、カンファレンスやコンサルティングなどを行う際には、まずスキャナーで読み込んでデジタル画像を作成していました。しかし、ECLIPSE Uiの場合はスライドガラスをセットすれば、それがすぐにデジタル画像として取得できるため、これらの手間を省くことができると思いました。

ECLIPSE Uiと高精細モニター
※モニターの画像は、ニコンで準備した標本です。

無理のない楽な姿勢で検体の観察・診断が行える
※モニターの画像は、ニコンで準備した標本です。

― ECLIPSE Uiの操作性などはいかがでしたか。

佐々木先生:電源を入れた後の立ち上がりや、ステージの動作のレスポンスが非常によいですね。また画像表示も素早く、モニター上に画像を映し出すまでのディレイもなく、非常にスムーズでした。GUIも分かりやすくて、ストレスは感じませんでした。

― 画像のクオリティはどのように評価いただきましたか。

佐々木先生:いろいろな検体で試しましたが、さすがニコンというだけあって、非常にクリアな画像でした。例えばヘリコバクターピロリ菌などは、デジタル画像では確認が難しいのですが、まったくストレス無く通常の光学顕微鏡と同じような精度で再現されていました。また、マクロ画面がモニターに映し出されるので、いまどこを観察しているかひと目でわかる、ということも非常に便利だと思いました。さらに、検体によって確認しやすい色味というものがあるのですが、その色味をGUIで簡単に調整できることも非常によかったですね。

高精細モニターの右下にマクロ画像を表示
※モニターの画像は、ニコンで準備した標本です。

マクロ画像で現在どこを観察しているかひと目で分かる
※モニターの画像は、ニコンで準備した標本です。

次世代の病理医の姿が見えてくる

― 先生は、ECLIPSE Uiにどのような可能性を感じましたか。

佐々木先生:病理医のイメージを変える可能性ですね。これまでは背中を丸めて顕微鏡を覗くという暗い印象もあったのですが、体を起こしてモニターを見ながら診断ができるので、たとえば、見学に来た研修医や学生たちにも、明るい印象を持ってもらえるのではないでしょうか。

― これからの病理現場のイメージでしょうか。

佐々木先生:この顕微鏡は、私たちの世代にとって大きなメリットがありますが、むしろ新しい世代にこそ有用です。いま、医学部の病理学や組織学の実習は、ほぼデジタル画像で行われています。顕微鏡を覗かずモニターを見ながら行うのです。今後、デジタルネイティブと言われる世代が病理医の主流になったとき、ECLIPSE Uiのような顕微鏡で、複数の病理医が意見交換を行うことが普通になると思います。

― 新しい病理診断の時代が来ているということですね。ありがとうございました。

佐々木先生:いま、社会のいろいろなところで、デジタル化が必須となっています。病理診断の現場でも、ECLIPSE Uiのような次世代型の顕微鏡を通してデジタル化が実現する時代が来ているということを強く感じました。

*所属および掲載内容は取材当時のものです。

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