アプリケーションノート

NSPARCサイクリックイメージングによる超解像空間マルチオミクス

2026年9月

イメージング技術は、空間生物学、特に空間トランスクリプトミクス分野の発展を大きく後押ししてきました。細胞の転写状態を空間情報とともにin situ で可視化することは、疾患の理解や新たな生物学的知見の獲得につながる強力なアプローチです。さらに、高解像度イメージングとRaw画像データへの直接アクセスを組み合わせることで、データ品質を向上させるとともに、サンプルに含まれる情報を最大限に活用できます。

本稿では、NikonのNSPARC超解像共焦点イメージング技術を用い、紫外(UV)から近赤外(NIR)までの広い波長域を活用した高度な多重化ワークフローにより、組織サンプル中の単一RNA転写産物を同定した事例を紹介します。本稿で紹介するイメージングワークフローは幅広い蛍光染色法に適用可能ですが、本実験ではマルチプレックスin situハイブリダイゼーションを用いて、新鮮凍結マウス脳組織における16種類のアストロサイト特異的遺伝子を解析しました。また、ROIに基づく標的イメージング、マルチモーダル空間オミクスとの統合、およびRaw画像データへのアクセスを維持した解析により、転写産物をサブセルラー分解能で三次元的に可視化できることを示しました。さらに、免疫蛍光染色法と組み合わせたマルチオミクス解析により、複雑な細胞形態を持つアストロサイトにおいても、転写産物を高精度に各細胞へ割り当てられることを実証しました。

本システムは、UVからNIRまでをカバーする3D超解像空間マルチオミクスプラットフォームです。広い波長帯域、高い多重化性能、および超解像イメージングを統合することで、複雑な生物学的サンプルを高精細かつ包括的に解析することを可能にします。

キーワード:NSPARC、超解像顕微鏡、UV–NIR、サイクリックイメージング、マルチオミクス、3D イメージング