アプリケーションノート

共焦点レーザー顕微鏡システムが捉えた、TGN/EE局在型SNAREタンパク質SYP61とユビキチンリガーゼATL31の植物C/Nストレス耐性への貢献

2022年6月

生物は様々な環境変化にさらされる中で、恒常性を保ちながら自身の生育を最適化させている。糖(炭素源,C)と窒素(N)は代謝の根幹を担う栄養であり、近年、CやNのそれぞれの存在量に加えて、その相対量比(C/Nバランス)も植物の代謝や相転換を制御するシグナルとなることが明らかになりつつある。糖を供給する光合成の活性や土壌中の窒素量は、季節や昼夜の日照条件、降雨等で絶えず変動している。また、現在、大気中の二酸化炭素量の増加も進行している。C/Nバランスの乱れはバイオマスの低下や老化促進といった生育の阻害につながることから、持続可能な農作物の生産を考える上でも、植物のC/Nストレスへの適応機構の理解は重要である。
本アプリケーションノートでは、ATL31の局在制御に着目して植物のC/Nストレス適応機構の解明を目指した最新論文の内容を中心に、共焦点レーザー顕微鏡システムが貢献した植物の研究事例について紹介する。