アプリケーションノート

共焦点顕微鏡が捉えた、リサイクリングエンドソームのダイナミックな膜変形

2023年1月

リサイクリングエンドソームをチューブ状に長く伸ばす膜変形は、細胞膜表面から細胞内に取り込まれた受容体や接着分子などの機能分子が再び細胞膜表面へとリサイクルされる際に重要な役割を担っており、細胞増殖、運動、分化など多彩な細胞機能に寄与している。そのため、種々の機能分子のリサイクリング機構の破綻は、組織・ 器官形成の異常やがん転移に関わっていると考えられる。複数の分子がリサイクリングエンドソームのチューブ構造の形成に関係していることが知られているが、その詳細な分子機序は不明なままである。
徳島大学大学院医学研究科生化学分野の坂根亜由子先生、佐々木卓也先生らは、細胞内での分子輸送に関わる小器官(オルガネラ)のひとつであるリサイクリングエンドソームがダイナミックな膜変形を引き起こす仕組みを新たに見出した。
共焦点顕微鏡は、通常の共焦点画像取得に加えて、3次元構築、タイムラプスイメージング、FRAP(Fluorescence Recovery After Photobleaching:光褪色後蛍光回復法)など様々なアプリケーションにおいて解像度の良い画像を取得可能であり、坂根先生らの研究においてリサイクリングエンドソームの膜変形を捉え、その分子機序を明らかにすることに貢献した。本アプリケーションノートでは、坂根先生らの発見について、共焦点顕微鏡による寄与を中心にご紹介する。