アプリケーションノート

蛍光ビーズを参照データとした非線形デコンボリューションによる歪み補正技術

2025年7月

イメージ走査型顕微鏡(Image Scanning Microscopy: ISM)は、蛍光シグナルの強度を損なうことなく空間分解能を向上させる技術である。この技術にデコンボリューション処理と組み合わせることで、ISMは従来の光学解像度の限界を超える超解像画像を取得することが可能になる。 

一方で、三次元(3D)イメージングの課題として、対物レンズの浸液媒質(水、シリコン、オイルなど)と生体試料との屈折率の不一致により、光軸方向に歪みが生じることが挙げられ、ISMによってXY平面内の分解能が向上しても依然として同じ課題が存在している。

上記課題の解決のため、様々な深さに埋め込まれた蛍光ビーズから抽出した点像分布関数(Point Spread Function: PSF)を用いて、非線形デコンボリューションによる処理を試みた。その結果、理論的なPSFモデルに基づく標準的な線形デコンボリューションによって得られた光軸分解能と比較して、非線形デコンボリューションの優位性が示された。