アプリケーションノート

NIS.aiを用いた、Fucciデジタルステイン画像の生成と細胞周期解析への応用

2022年4月

生サンプルを染色し顕微鏡観察に供するやり方は一般的ではあるが、染色による影響は避けられない。近年はさまざまな研究分野において機械学習が活躍している。蛍光イメージング分野でも機械学習を用い、非染色の生サンプルにおいて特徴や構造体を検出する手法が検討されている(参考文献1)。細胞周期情報は、細胞の増殖・分化バランスを評価する指標として広く用いられる(参考文献2, 3)が、たとえば再生医療分野においても、ヒトiPS細胞由来幹細胞移植治療などを目指して、染色せずに培養生細胞の増殖・分化状態を評価することが求められている。しかしながら、非染色で細胞周期を検出する技術はいまだ確立されていない。
本アプリケーションノートは、国立研究開発法人理化学研究所 脳神経科学研究センター 細胞機能探索技術研究チームの宮脇敦史先生、阪上-沢野朝子先生にご協力いただき、NIS.aiモジュールを用いて非染色培養細胞の顕微鏡画像から細胞周期情報を予測し、さらにG1, G1/S, late S, G2, M期の5フェーズに分類した事例を紹介する。