アプリケーションノート

共焦点レーザー顕微鏡システムAX Rによるスフェロイドの自動探索と薬効解析

2023年3月

従来、創薬開発において、細胞を用いた薬剤効果の評価や有効濃度の測定、作用機序の解析には二次元培養された単層の細胞が用いられてきた。しかし、これらの二次元細胞の使用には、生体とは異なる薬剤応答や抵抗性を示し、正確な評価が難しいという課題がある。一方、スフェロイドなどの細胞凝集体は、三次元構造を取ることでより生体に近い反応をすることが分かっている(文献1)。そのため、近年ではスフェロイドの薬理、毒性評価への利用が増加している。また、スフェロイドは、外層と内層などの形態や構造の差により、その性質や物理化学的な環境が異なるため(文献2)、薬剤効果を解析するには三次元構造内での位置関係の情報も重要である。従って、スフェロイドの顕微鏡による有効かつ効率的な解析には、鮮明な三次元画像の取得、多量のサンプルを撮影するための高いスループット、三次元画像解析が必要である。
共焦点レーザー顕微鏡システムAX Rは、Zセクショニングを持つ鮮明な三次元画像を取得可能である。また、画像統合ソフトウェアNIS-ElementsのJOBs機能を用いることでシームレスな撮影を、GA3機能を用いることで複雑な三次元定量解析までを実現できる。本アプリケーションノートでは、抗がん効果を持つことが知られているスタウロスポリンをスフェロイドへ添加し、その三次元画像の取得から解析までを実施した事例を紹介する。