アプリケーションノート

Expansion microscopyを応用した、高速、深部、高解像度の多光子イメージング

2022年12月

ミクログリアは多数の枝分かれした突起をもつ脳の免疫細胞であり、その形態を絶えず変化させることで周囲環境の監視や神経回路の形成・維持に寄与すると考えられる。近年の観察研究から、ミクログリア突起にはフィロポディアが存在し、太い突起とは異なる動態で周囲をセンシングすることが報告された(Bernier et al., 2019)。また、ミクログリアの遺伝子発現、密度、形態は脳領域ごとに異なることが複数の研究から報告されており、その多様性についてより関心が高まっている(Masuda et al., 2020)。このようなミクログリアの特徴的な形態と多様性を理解するためには、ミクログリアの形態学的な特徴を広範囲にわたり観察する技術が求められる。本アプリケーションノートでは、近年開発された超解像顕微鏡法であるExpansion microscopyと、高速マルチフォトンシステムを組み合わせた、広域におけるミクログリアの効率的なイメージング手法を紹介する。