開発・企画インタビュー 業界最大の視野数25mmを実現した A1 HD25/A1R HD25

従来比2倍の広視野で、画像取得の高スループット化を実現した共焦点レーザー顕微鏡「A1 HD25」「A1R HD25」。発売に至るまでのエピソードを、開発部門と企画部門の担当者に聞きました。

開発の背景について聞かせてください。

西田:2016年に倒立顕微鏡「Ti2」で視野数25mmを実現し、顕微鏡用カメラでも広視野への要望が高いことがはっきりしました。現在は、従来のような細胞一個レベルの観察ではなく、細胞の集まりである組織、組織の集まりである個体でのイメージングに対するニーズが増え、集合体の空間の中で局在や相互作用を観察するなど、観察対象もどんどん大きくなっています。共焦点レーザー顕微鏡は、厚い試料でもフォーカスの合った画像を得ることができますが、視野数を上げることで一度に観察できる範囲をさらに拡大し、組織や個体のイメージングにおけるスループットを上げることを狙いました。

西田 裕志 Hiroshi Nishida

1999年入社。海外営業に10年従事した後、6年の欧州駐在を経て、2015年より商品企画部門にて共焦点レーザー顕微鏡を担当。

最新のA1シリーズ「A1 HD25」「A1R HD25」の進化点について教えてください。

西田:光刺激のとき、視野の外側で反応が起こっていたら見逃してしまいますし、タイリングしても時間分解能的に追いつけませんよね。「A1 HD25」「A1R HD25」は視野数が25mmになり、広い範囲を同時に見ることができるので、さまざまなメカニズムの解明に役立ちます。市販の顕微鏡で手軽に広視野画像が取得できるようになったことは、とても重要だと思います。

堀越 勝 Masaru Horikoshi

1989年入社。測量機の設計に14年間従事。2006年より共焦点レーザー顕微鏡の設計を担当

堀越:しかも、ただ視野が広いというだけではなく、実は面積が約2倍になっていますからね。数字的に「2倍」という威力は、やはりすごく大きいです

従来の約2倍の広視野を実現

製品の開発にあたり、どのように課題を克服したのですか。

堀越:開発で大変だったのは、スキャンレンズですね。単に大口径化するだけでは視野周辺の画質に影響が出るので、光学系はもちろんガラス原料までを非常に吟味した上で設計しました。「視野の拡張」と「収差の低減」という、相反する性質を実現するために、さまざまな制約がある中で最高のものを出すことが特に難しい部分でした。

技術的にも製造方法を一から見直しています。製造・企画・開発で集中的に打合せを行い、三者間の連携を密にして開発を進めました。ニコンはレンズの制作を、ガラスの製造を含め、全て自社内で一貫して行っているところも強みですね。

A1 HD25」「A1R HD25」は、大口径化以外にも全面的な改良を施しています。ガルバノスキャナーの制御に合わせて速度を向上させたほか、プリズムが大きくなることによる誤差の発生などの難しい問題も解消しました。

視野拡大を実現した大口径スキャンレンズ(左)

西田:単純に「口径を大きくしました」という話ではなく、従来のA1シリーズと同じ品質を守っています。広視野化により、さらにシビアな性能を求められるので、従来は問題にならなかった部分についてもチューニングを行っています。

広視野と高品質画像の両立のために、全面的に改良

ニコンが特に強みとしているのは、どんな点ですか。

西田:やはり「総合的な光学性能に対して実直である」というところですね。対物レンズのスペックだけでなく、顕微鏡に仕上げたときの最終的な結果についても緻密に検討している点は、ニコンならではの強みだと思います。
NIS-Elements」もニコンという顕微鏡メーカーのソフトウェアであるにも関わらず、他社製のカメラや周辺機器までコントロールできるので、さまざまなカスタマイズが可能です。その利点は、ユーザーの皆様にとっては大きいと思います。

堀越:強みは一言でいうと「拡張性」ですね。さまざまなイメージングユニットを組み合わせることができる点はニコンならではです。「A1 HD25」「A1R HD25」では広視野観察を実現していますが、それとは逆に細かいものが見たい場合は、全反射顕微鏡や超解像顕微鏡を組み合わせて拡張できるため、超解像顕微鏡の20nmレベルから「A1 HD25」「A1R HD25」のミリ単位まで、シームレスに観察できるんです。

超解像顕微鏡N-STORMとの組み合わせ例

「A1 HD25」「A1R HD25」がサイエンスの研究に与える影響を、どのように期待していますか。

堀越:A1 HD25」「A1R HD25」の広視野性能によって、先生方の実験効率が上がり、生命現象を解明する研究のお役に立てればうれしいです。

西田:視野が広がったことで、撮影や解析の可能な細胞数が飛躍的に増えているので、スクリーニングや薬効調査への活用を期待しています。スループットが向上するので、生きた個体や組織のイメージングで空間的な把握についても、きっとお役に立てると思います。

1ウェルのほぼ全域をカバーする広視野で、スクリーニングのスループットを向上

A1 HD25 / A1R HD25

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